「誰も見たがらないってば。やっぱ、行かない。楽しんでおいで」


「てかさ、また誤解されて、ひとりで抱え込まれるのが嫌なんだ」と、急に思いつめたような顔をするから、ドキリとした。


「広重……」


大丈夫、と言いたくなった。ちょっとずつだけど、私の恥ずかしいヤキモチを否定せずに、考えてくれることが嬉しいから。


私も、広重のこと、ちゃんと考えてあげられてるのかな。


そんなことも、少し考えられるようになった。


「ていうか、いい加減、名前で呼んでくださいよ」


「や、嫌だ」と力強く否定して、またがっかり顔をされた。


また、やってしまった。


「こうしてるときの千花さんは、可愛いはずなのに」と、キスの続きを私にした。


そう明日は、会社の同僚と海でバーベキューというイベントがある。


花見並みに、結構な人数が集まるみたい。そんなところになぜか私も出席する羽目になったのは、さかのぼること、一週間ほど前の話になる。