「千花(チカ)さん」眠っていた私を揺り起こす声がした。 「千花さん」 ゆっくり目を開けると、すごいどアップの広重(ヒロシゲ)。 「千花さん、大変。もう九時だよ。遅刻」 「……えっ?」 飛び起きると、ベッドのスプリングまでが驚いたみたいに跳ねた。 「嘘。やばい…」 ベッドサイドに置いてある、目覚まし時計を手にする。 もう九時を十分は過ぎていた。 本来なら、私は今頃、会社で朝の朝礼を行っているはずだ。 どうして鳴らなかったの? 八つ当たりしてる暇もなかった。