「さて、帰ろっか!」 教室に佐倉さんの一人言が響き渡った。 そんな大きな声を出さなくても良いのに。 「何してるの?早く帰ろ!」 佐倉さんが私の方をみてそう言った。 後ろには誰もいないし、両隣にも誰もいない。 「私?」 「そうだよ!ほら、早く帰ろう!」 自分の事とは思っていなくて焦る。 でも焦り以上に、嬉しさが私の心を占めた。