午後の仕事は思ったよりも早く終わった。
緩奈は今日はストレス発散だと言いながら、化粧直しのためトイレに走って行った。
私は一足先に駅前まで来て緩奈を待つ。
同じ空間にいるとまた泣いてしまいそうだったから。
外はカーディガンを羽織れば十分な気温になっていた。
なんとなく上を向いてみると星がちらほら見え始めている。
男なんて星の数ほどいるってテレビで言ってたなぁ
「何してんのおまえ…」
完全に油断していた。
低い声に体がビクッと反応してしまった。
「あっ…変態藤崎」
「はぁ?ふざけんな。会社ならまだしも外でもボーっとしてる方が悪いんだろ。」
「ふざけんなはどっちよ…会社でもプライベートでもボーっとなんてしてません!」
会うなりなんなり喧嘩が始まってしまう。
緩奈より先に藤崎が来てしまった。
それと、藤崎の後ろに見慣れない男の人。
「で…後ろの人は、誰…?」
「あぁ…俺たちと同期。部署違うから会ったことないと思うけど」
「へぇ~…初めまし…て?」
「同期ってことは…歳も一緒かな。俺、中村隼人です。」
「たぶん一緒だと思う。須藤楓です、よろしくお願いします。」
身長は藤崎とそんなに変わらない。
短髪で黒髪の爽やかな男性だ。
…というか、何で連れてきたんだろう。
よりによってこんなズタボロな顔面の時に。
「ここ来るまでに偶然に会ったから、連れてきた。別にいてもいいだろ?」
「ふーん、そうなんだ。私も緩奈も大丈夫だよきっと。」
そんなことを言っているうちに緩奈が小走りで近づいて来た。
中村君がいることに気づいて乱れた髪の毛を直すところがかわいらしい。
「楓…どなた様?」
「部署が違うんだけど、私たちと同期の中村くん、だそうです。」
「へー。こんな人いたんだ!初めまして、緩奈です。」
「初めまして。」
中村君は緩奈に対しても紳士的な態度だった。
