すぐにその話を各班に持ち帰り、私と藤崎は再来月のプレゼンに向けて動き出した。
毎日のように残業、緩奈はそこまでやらなくても…なんて言ってくれたけど。
こんなチャンス、滅多にないと思ったし。
もう一つ理由があるとすれば。
~♪
一人しか残っていない部屋に携帯の通知音が聞こえる。
「あ…。」
携帯の画面で今の時刻を知る。
私が残業をするたびに迎えに来てくれている。
「せ、先輩すいませんっ…今気づいて…」
慌てて会社から出て、小走りで近くのコンビニに行く。
会社の駐車場ではなくここの駐車場にしてくれと頼んだのは私なんだけど。
「楓ちゃん、遅い…。」
「す…すいません、何かおごりますよ…?」
不機嫌な顔の先輩を気遣うためコンビニを指さす。
チラッとコンビニを見てから私に視線を戻す。
「コンビニはいいや。…でも腹減った。」
「冷蔵庫…何か残ってます?あるなら作ります。」
彼の冷蔵庫の中はほぼ何もない。
普段何を食べているのか不思議だし、ちゃんと食べているのか不安になるくらい。
「じゃあ…今日も泊まりね。」
嬉しそうに笑う先輩に助手席に乗るように促される。
「無理、してない?」
「え?してないですよー…なんか、勝手に私が張り切っちゃってるだけです。」
「…そっか。」
「もしかして、心配してくれるんですかー?」
ツンツンと左腕をつついてみる。
