課長と私


この日もサークルの飲み会で、もちろん秋穂のお目当てである和田さんはいなかった。


「はぁーあ…和田さんいないかなぁ…」

「最初に何回か顔だしてくれたけど、それからは全然だね…。」

「就活、それほど忙しいんだよねきっと。」


居酒屋の隅っこで壁にもたれかかる私たちの前に、入口から入ってくる2人の男性が目に入った。
隣にいる秋穂が、持っていたフライドポテトをポロッと落としてしまうほど、待ち望んでいた人たち。


「和田さん!!」

「お…!秋穂ちゃん?」

「そうです!!覚えててくれたんですね、嬉しいです!!」


駆け寄っていく秋穂の背中をぼーっと眺めている。
恋をしている女の子って、背中を見ただけでもこんなに可愛く見えるものなのだろうか。
素直に感情を表現できる彼女が正直うらやましい。

和田さんと秋穂がサークルのみんなとお酒を楽しんでいる頃。
和田さんの後ろからゆっくりと入って来た柳瀬先輩が、輪から少し離れた席へぐったりと前のめりになって座っていた。


「あの…これどうぞ。」

「………。」


なんとなく気になって、柳瀬先輩のところへ水を持っていく。
顔を上げるものの疲れているせいかぼーっとしているようだ。