「ねぇねぇ楓、もしかしてこの人…柳瀬先輩じゃない?」
「え、そうなの?」
「確かそうだよ!私2回くらい見たことあるもん。」
こっそりと耳打ちしてくる秋穂。
なんとも信憑性がないけど。
この人が本当に噂の柳瀬先輩なら、確かに周りの女の子が騒ぐ理由が分かる気がする。
「じゃあ、ここに名前書いてもらっていい?そしたら俺がサークルの中案内するよ。」
「わかりました!」
秋穂がサラサラと名前を書いている間に柳瀬先輩と目があう。
じっとこっちを見る彼に、どうしていいのか分からず軽い会釈をする。
イケメンに見られるほどの顔じゃないんだけどな…どうしよう…
「じゃ、楓も名前書いてきてね!私先に行ってるから!」
「はーい…」
もう和田さんに夢中だな…
彼の後にちょこちょこついていく秋穂がかわいらしい。
私もノートの近くにあるペンに手をかける。
「楓…ちゃん?」
「あ、はい…よろしくお願いします。」
「ん。」
まだ眠そうな柳瀬先輩は優しく微笑んでまた顔を伏せてしまった。
これが私と先輩の出会いだ。
それからというものの、定期的に行われるサークルの飲み会にはついていくが、四年生で就活に忙しい和田さんと柳瀬先輩に会うことは滅多になく、秋穂も心から楽しんでいるようでは無かった。
