三枝さんに連れられて、買い物袋もそのまま三枝さんの部屋に。
何度か会ったことがあるくせに、そこまで仲が良くなかったため部屋の中までお邪魔をしたのは初めてだ。
「さ、そこに座って。アールグレイがあるんだけど、それでいいかな?」
「…はい。」
心臓のバクバクがまだ少しだけ収まっていない。
「…はいどうぞ。」
可愛らしい器に温かい紅茶が用意される。
ぐるりと見渡した部屋の雰囲気は三枝さんの見た目のまま、とても女性らしい。
ピンクの小物や、パステルカラーの家具。
「須藤さん、私が声をかけたときに様子がおかしいと思ったんだけど…何かあったの?」
「いえ……ちょっとビックリしただけで…」
「それだけじゃないでしょ?…須藤さん、教えて?」
ぼそっと小声で言葉を濁す私に真剣なまなざしを向ける三枝さん。
最初は言う気は無かったのに自然とぽつぽつと言葉が出てくる。
「あの、私…ちょっと前から…ストーカーみたいなことされてて……先輩は、隣に住んでる人が怪しいんじゃないかって忠告してくれてたのに、私が勝手に帰っちゃったんです…。」
「…うん。」
「そしたら…本当に隣の……真鍋さんっていう人が私のストーカーで……。それで…」
その先は頭の中に嫌な思い出が広がって、うまく言葉に出せなかった。
両目に涙が溜まっていく。
私の様子を見て、三枝さんは手を握ってくれた。
「辛かったね…。無理して外になんて出なくていいのに…。」
「でも…いつまでも部屋の中にいる訳にはいかないし……明るい内なら大丈夫かなって…」
「今は…焦らなくてもいいんじゃないかな。…私が声をかけただけで怖がってたでしょ?」
三枝さんの言っている通りだ。
私は今、男女関わらず人に恐怖を抱いている。
無理をしすぎていたのかもしれない。
