いや、でも…
ここは私のアパートより離れてるし
大丈夫だと思うんだよね…
あの人に会うことは無い、はず…
「行って…みようかな。」
幸い、先輩の家からスーパーはものの10分で着く。
まだ外が明るいうちに行ってしまおう。
「よし、今日は先輩の好きなものでも作ってあげようかなー…」
…と言っても、大体美味しいって言って完食してくれるんだけど
何がいいかなぁ、とりあえずお肉で良いかな…
もらったまま1度も使うことのなかった合鍵を初めて使う。
ずっとキーケースにはつけていた。
記念すべき1回目は、開ける側じゃなくて閉める側だった。
外に出て、スーパーまで歩いていく。
ほら、何もないじゃん。平気平気。
少しでも間があくと、昨日のことを思い出してしり込みしてしまいそうだ。
自分に言い聞かせて歩いていく。
「あれ?須藤さん?」
ビクッと体が震える。
体が金縛りにあったように固くなった。
一緒に冷汗も出てくる。
「須藤さーん。」
「へ…。」
「どうしたんですかー?あれ、具合悪いのー?」
すぐに振り向けない私をよそに、その人は私の目の前に現れた。
小柄で可愛らしい女性。
先輩の部屋の隣に住んでいる三枝さんだった。
「須藤さん…?どうしたの?顔色悪いよ?」
「あ…いえ、大丈夫…です。」
「…大丈夫じゃなさそうだよ。買い物一緒に周るから、終ったら私の部屋行こう。」
彼女特有のふんわりとした喋りは続いているものの、
いつもの態度とは想像できないほどのしっかりとした顔つきになる。
私の表情が強張っていたことに気づいたらしい。
普段は先輩の隣の部屋という事に嫉妬心があったが、今の三枝さんは頼れるお姉さんのような感じがした。
