「…っ……っ!」
震えてまともに声も出ない。
涙が止まらなくて、どうしたら良いのか全くわからなくて。
「その汚ない手どけろ。」
「なっ!?何だよ!?今から俺と彼女は1つになるんだ!!こうして俺のもとに帰ってきただろ!邪魔者はどっかにいけ!!」
「……っせぇな…。そこどけって言ってんのが分からないのかよ。」
こんな姿は1度も見たことがない。
怒鳴る訳でも騒ぐわけでもない彼は、ただただいつもよりずっと深く低い声で威圧を続けている。
「かっ彼女だって!!きっと俺を選んでくれる!!俺は!!!彼女のことを愛しているんだ!!」
「………。」
「ききき君と彼女は不釣合いだ!!俺と彼女こそが似合う!!そうに決まっている!!!!」
「………。」
もう言葉を交わすことさえすることがなくなった。
先輩が黙ったままソファの近くに来て、力強く真鍋さんの服の襟をつかむ。
掴まれた瞬間「ぐっ」という苦しそうな声を残し、私の上にのしかかっていた真鍋さんが視界から消えた。
先輩に、こんなに暴力的なところがあったのかと思わせるほど。
真鍋さんを片手でソファから引きずりおろし、もう1つの手で顔面を殴る。
殴られるたびに真鍋さんの痛みを我慢するような声が聞こえたが、その光景を見ることは私には出来なかった。
「やめッ…!もうやめてくれええっ!!!」
「………出てけ。」
「ひっ!?」
情けない声を残し、真鍋さんは足早にその場を去って行った。
