「緊急時用でメールアドレスは教えましたけど……あの、先輩まさか真鍋さんを疑ってるんですか?」
ついつい言葉に棘が出てしまう。
先輩といえど、今回はちょっと引っかかる。
「何で怒ってるの。…意外に近くにいたりするかもって話。」
「先輩はこの間初めて真鍋さんに会ったから何も知らないだけですよ!そんなことする人じゃありません!」
「…そう。」
「私…先に戻りますね。」
緩奈と自分の分のカップを持って給湯室から出た。
心なしか早歩きになる。
「真鍋さんは…いい人だもん…」
あのアパートでは近隣の部屋の人となるべく連絡先を交換しておくようにと部屋を借りるときに言われていた。
だから隣の部屋の人との交流が頻繁にあり、仲が良いと有名だ。
私も特に抵抗なく両隣の人たちと連絡先を交換していた。
「はい、緩奈の分。」
「ちょっと楓、この数分で何かあった?そんなムッとして。」
「別に。ストーカーさんが私に会いたいみたいだから、ちょっと顔だしてあげようかなって思っただけ。」
「はぁ?何言ってんのあんた。」
「…なんでもない。」
こんな感じでその日の仕事は少しイライラしたままで終わろうとしていた。
~♪
この音は、先輩からのメールだ。
画面には“ごめん、社長に捕まったから少し時間つぶしてて。”の文字。
