緩奈との電話を終えると、自分のやったことに罪悪感しか無くなってしまった。
顔から生気がなくなっていく。
どうしよう…
まさか、あんなことをしてしまっただなんて…
ベランダから部屋に帰ってきた私は変わらず不機嫌な先輩に声をかけられた。
「楓ちゃん支度して。…出かけるから。」
「へ…あ、はい。」
今日は2人とも休み。
だから、前から約束していたお出かけの日…だったんだけど。
私のせいでこんな空気になってしまうとは。
なるべく早く、でも丁寧にお化粧と服を合わせた。
髪の毛は、今日はそのままにしておこう。
「あ、あの先輩…。今日はどこへ……。」
「……。」
「先輩…昨日のことなんですけど…。」
運転をしてくれる彼の方をみつつ、勇気を振り絞って危険な区域に入る。
これは無傷では帰られないな…。
「き、昨日…私」
「…ついた。」
「え、早…。」
どうやら私の勇気が声になるまでに時間がかかってしまっていたらしい。
小心者め…
私たちを乗せた車がついた先は、私が前に行きたいと言っていた水族館だった。
先輩覚えててくれたんだ…
どうしてこう、胸をキュンとさせるのがうまいのだろう。
「行かないの?」
「いっ、行きます!」
車から降りて、少し先を歩く先輩に追いつく。
昨日あんなことをしながらも、私との約束を守ってくれる先輩。
私の好きなところを覚えてて、そこに連れてってくれる先輩。
早く、この気まずさから離れたい…
そして穏やかで楽しいデートにしたい…
気持ちばかりが焦って、彼にうまく話しかけられないでいた。
