藤崎のくせに…
少女漫画の男の子みたいなこと言って…
…本当にやばい。
先輩以外にこんなドキドキするなんて。
「う……」
「とりあえず、今日まで協力してくれてありがとう。明日からはまたライバルだ。」
「…うん。こちらこそ。いろいろありがとう。」
藤崎が気を使って雰囲気を取り戻してくれた。
差し出してきた右手に、私も応えるように左手を出す。
こうして握手をするのは同期として入社してから初めてだと思う。
なかなか照れくさいものだ。
「片付け、終わったか?」
「課長…。」
入口の方から聞きなれた声。
つい、握手していた手をほどいてしまった。
いやいや…ただの握手じゃん…
そんなやましいことしてる訳じゃないし、大丈夫大丈夫…。
「すいません、あと少しだけ残ってます。」
藤崎は何もなかったのようにまだ残っている書類を集めだした。
私も布巾で机を拭き始める。
「2人とも、お疲れ。先方の担当者にも好評だった。」
「本当ですか?」
隣にいる藤崎が嬉しそうに顔をあげる。
あんなに頑張ってたからね。
「で、今日は部署の奴らも誘って打ち上げにでも行こうかと思ってるけど…どうする?」
少し微笑みながら壁にもたれかかっている先輩も私たちと同様、嬉しそうにしている。
プレゼンは本当にうまくいったようだ。
「課長のおごりですか?俺、支度してきます!」
「あ、おい……調子いいなまったく…」
小走りで部屋から出ていく藤崎に、さっきの男らしさとは違う少年らしさが見えた気がする。
なんだかんだ言って、藤崎は先輩のこと心から尊敬している。
いつか超えてやると言っていたことを思い出した。
