課長と私

その表情に一瞬どきりとした後、彼から奪い返した下着をスピーディーに装着しキャミソールまで着る。

とりあえず一件落着。


「まだ…時間じゃないでしょ…」


後ろから長い手で抱きしめられ、首元に頭を埋められる。

不覚にもビクッと反応してしまった。


少し気だるい感じは低血圧からくるものだろう。
昨晩触れ合った肌が思い出されてしまう。


「じょ…女子にはいろいろあるんです!お化粧とかっいろいろ!」

「それにしても早すぎ…」


彼の家に泊まった朝はいつもこんな感じだ。

だけど、そんなトラップにはひっかからない。
一体何回ひっかかったと思ってるんだ。


「先輩も早く起きてください。…いつもギリギリなんだから…。」

「もう少し…。」


長い腕を振り払ってワイシャツに腕を通す。

“先輩”はまたベッドに戻ってしまった。


もう…と小さくため息をつきながら、慣れた手つきで料理を始めた。



大学から1人暮らしだったため1通りの料理はなんとなくできる。
そして今では、ベッドの中にいるあの人に何度となく提供している。

美味しいと言ってくれるだけで作り甲斐があるものだ。