いや、そんな技術も余裕も、私にはない気がする…
先輩が咳払いをしてくれなかったらどうなっていたことか…
「要は、心配してくれる訳だ藤崎くん。」
おりゃおりゃと、足を延ばして突っついてみる。
汚ねぇなと言いながらも強くは拒まない藤崎を見て、緩奈の言葉がフラッシュバックする。
“藤崎、楓のこと好きだと思うよ”
「ねぇ。」
「ん?」
何でこんなこと聞いてしまったんだろう。
この時の私は完全にどうかしていた。
「藤崎ってさー…私のこと好き…とか無いよね?」
「……は?」
何とも言えない2人の空間に数分の沈黙が流れる。
自分で言ったものの、この空気に耐えられなくなっていった。
完全に私が悪い。
「なーんてね!!嘘!!今の嘘!ごめん、気にしないで!」
もらったカフェオレを近くの机に置いて、席を立つ。
さて…と意気込んで残りの仕事を片付ける。
「……好きだったらどうする。」
「……ぇ」
後ろからいつものトーンとは違う声が聞こえた。
一瞬ビクッとして擦れた声が口からこぼれる。
「な、何言ってんの。」
「お前が言ったんだろ。」
「嘘って言った…」
「言ったことには変わりないだろ。」
どうしよう。
本当…取り返しのつかないことをやってしまった。
どんな返事が返ってくるのか、全然考えないまま。
私は思ったことを無責任に口に出してしまった。
私が何も話せないでいると、今まで座っていた藤崎が私の近くまで来て向かい合う形でしゃがみ込んできた。
