課長と私


何でこう…分かってしまうんだろう。
大学時代の頃から、そんなことが幾度も。

先輩はきっとエスパーなんだ。
そういうことにしておこう。

後ろの方で進行を見守っていたが、全体的に分かりやすく、まとまったプレゼン発表だと思った。
頭の固そうなお偉いさん方もこれならすんなり受け入れてくれそう。


「以上で、私たちからの発表は終わりです。ご清聴、ありがとうございました。」


藤崎の言葉と一緒に、私も深いお辞儀をする。


相手の会社の人たちのお見送りをした後、私と藤崎は2人で後片付けをしていた。
会議室はそんなに汚れてはいないけど、プレゼンで気を張り詰めていたせいか、ドッと疲れが出て動きが遅くなっている気がする。


「疲れてんのか?」

「え?あ、いやー…なんか、ずーっと集中してたからかな。」

「ったく…ちょっと待ってろ。」


そう言って部屋から藤崎が出ていった。
1分もしないうちに飲み物を2つもって戻ってくる。


「ほら。」

「えーいいよ、悪いし。」

「いいから飲めって。」

「…ありがと。あとで返す。」

「いいっつーの、そんくらい。」


作業を止め、近くの椅子に座ってカフェオレを飲む。
やっと落ち着けた気がした。


「お前、あっちの人に何かされてたろ。」

「ゴホッ」


やばい、変なとこに入った……
噴出さなかったもののカフェオレは私の気管に入っていく。


「全体見える位置にいたから……見えてた。」

「あーちょっと長い時間手触られたりもしましたね…。」

「セクハラじゃねーかよ…我慢してるお前もあれだけど。」

「何よ。あそこで悲鳴なんてあげられる訳ないじゃん、相手はクライアントなのに…」

「別にそこまで言ってねぇけど。…助けを求めるくらいしろってこと…。」