「あ」
「え?」
何かを思い出したようにこちらを向く彼。
「不満、1つあるよ」
「え、あるんですか?」
「ちょっと自己評価が低いところ。」
「あー、同感です。」
「こんなに俺は楓ちゃんにメロメロなのにね」
「その表現古いですよ。」
「えー、さっき言ってたのに…」
二人で笑いあった。
「でも、私は良い女って感じで来られても好きにはならないんじゃないですか?」
「そうだなぁ…それもそれで面白そうだけど…」
「確かに。」
「ボーっとしてるから、悪い虫が寄り付きそうで怖いよ。」
「課長に喧嘩売るような男います?」
「これが意外と近くにいてね…」
チラッと同じ部屋にあるデスクを見る。
やっぱり気づいてたんだ。
「奴も報われないんですよね」
「ちょっと同情する。でもそれとこれとは別。絶対にあげないし。」
「おー…そんな言葉言われてみたい…」
「いいから、仕事片づけて早く帰りなよ、気を付けて。」
「はーい。課長も早く楓のもとに帰ってくださいよ?寂しがりやなんですから彼女。」
「知ってる。」
わー…もう、少女漫画から出てきてる人じゃないかこの人…
さらっとそんな言葉を残して部屋から出ていく彼に少しだけドキドキした。
「いいなー…楓がうらやましいぃ……」
残っていたコーヒーをぐいっと飲み干しパソコンの電源を落とした。
ちょっとだけ仕事は残ってるけど、明日に持ち越そう。
友達の幸せをお裾分けしてもらったような感覚。
ちょっとだけ私も心が弾んでいるような気がした。
Fin.
