「課長、楓と長続きしている秘訣って何なんですか?」

「え?」


定時を過ぎたオフィス内。
少しだけ残業をしていた私に、会議から帰ってきた課長が缶コーヒーをおごってくれた。

ちょっと前に私の友人である楓と、皆の憧れの相手、柳瀬課長が付き合っていることが分かった。
そのことが分かったときは確かにビックリしたし、でもその反面嬉しかった。
課長のことは会社でのことしか知らないけど、彼が楓の相手で心から安心したことをまだ覚えている。

そんな彼に興味がわかない訳がない。


「こんなに長く付き合ってて、お互い嫌な所とか出てきませんか?」

「嫌なとこ…?んー…。」

「その様子だと…無いんですか?」

「んー…思いつかない…かな…」

「じゃ…じゃあ、楓のことで分からないこととか…私が知っていることもあるかもしれませんし…」


そう言うと、うーんと唸りながら考えている。
何秒かして何か思いついたように顔を上げる。


「楓ちゃんが時々…甘えてくるときがあって…」

「何ですか、のろけですか」

「いや…楓ちゃん、自分からは甘えてこないんだよね基本的には」

「へぇ…あの子恥ずかしがりやですもんね…で、時々甘えてくるときがどうしたんですか?」

「甘えてくる時って、あんまり機嫌がよく無さそうな時なんだよね。」

「どういうことですか?」

「俺も分からないんだけど…」


楓の機嫌の悪い時っていつだろう。
しばらく考えてみて、思い当たることが1つあった。

これは…言っていいことなんだろうか。


「何か知ってる?」

「え!?あ、あぁ…なんとなく、分かった気がします。」

「どうすれば良いんだろ…」


おそらく原因は女性特有のアレだと思うんだけど…