課長と私


「彼女…いるのかな。」

「え?いそうなの?」

「わ、分かんないけど…だって、歯切れ悪くなるし?あんまり話したくないってことは…そうかなって。」

「ただ単にそういう話が苦手なのかもよ?それか、意中の相手が緩奈だから、あんまり下手に喋れないとか。」

「んー。」


わぁ…もやもやする。
1番辛い時期かもしれない。

なんとか緩奈の力になれないだろうか。



「ちょっと、トイレ行ってきます!」


いてもたってもいられず、右手に携帯を持ち、席を立った。

画面に亮くんの名前を表示させた。


「あ、もしもし?」

「楓ちゃん?どうしたの…?」


休日の昼間まで寝ている彼はまだ眠そうだ。
今ちょうど起きたくらい。


「あのー…桑野くんって、話したことありますか?」

「桑野?…二課の方か。……楓ちゃん興味あるの?」

「私じゃなくて…緩奈が…」

「へぇ…あの二人仲いいんだ。」

「仲良くさせてあげたいんです。…女性関係とか聞いたことあります?」

「キューピットね。……俺、そういうのあんまり詳しくないけど…前に飲みに行ったときは、片思いしてるって言ってた気がする…」


冷汗がぶわっと体中から出てくる。

一体誰に片思いしているんだろう。


「誰に…!?」

「それは分かりません。」

「そんなー……」

「言ったでしょ、詳しくないんだって…。」


だめだ、埒が明かない。
私が緩奈に出来ることなんて無いのかな…


「楓ちゃん嘘下手だから、あんまりくっつけようとして…頑張らないようにね。」

「嘘下手は…その通りですけど…」

「最後は本人たちの決断だし…俺たちがどうこう出来ないでしょ?」


優しく諭すように私を説得する。