全く色気のない声を出してしまった。
「せっ」
「今度は隠せないところにつけてあげようか」
私の胸元に顔を埋めていた先輩が顔をあげる。
あっというまに赤い痕をつけられてしまった。
これは本気の目だ。
「例えば…こことか。」
のど仏あたりを長い指がなぞる。
甘くゾクゾクっとしてしまうのは先輩が私の敏感なところを知っているから。
「ご…ごめんなさいっ」
本当にやってしまいそうな雰囲気に耐えられなくなって至近距離にある先輩の顔に当たりそうな勢いで頭を下げる。
心臓に悪い、本当に…。
「き、キスマークだけはご勘弁をっ……!」
「…そんなに、つけられるの嫌?」
優しくなった声に少しだけ安心しつつ、ゆっくりと目を合わせる。
今まで壁についていた手が私の頭にポンとのる。
「嫌……じゃないんですけど…。ほかの人に見られるのはっ…恥ずかしいし…」
さっきまで攻めの姿勢だった私はいったい何処へ…
すっかり形勢逆転状態でなんとか今を切り抜けることで必死だ。
「あと、会社の人たちにバレてしまうかも知れないですし……」
「要するに、皆が見えない部分につける分には良いってことか。」
「ま、まぁそういうことですね。……ん??」
「分かった。」
え、なんか私今変なこと言っちゃったし。
先輩嬉しそうだし。
今にも何か仕出かしそうな顔してるし。
「あのっ…言葉の綾っていうものがありまして…!」
こんな状況じゃなかったら泣いて喜ぶのに。
先輩は軽くはないだろう私の体をひょいと持ち上げ、慣れたように寝室の扉をあける。
