「もぉ……」
右手に持っていたコップの水を口に含む。
彼の頭を少しだけ上に傾けて、薄い唇に自分の唇を合わせた。
唇の隙間からこぼれた水が色っぽく感じる。
「……っ」
「…もっかい……」
「え!?ちょ…っ、先輩…」
「それ…全部、飲ませて…ね」
グッと腰の辺りに抱き付かれ、離れようとしない。
さっきよりも機嫌がよさそうにこちらを見てくる。
コップに入っている水は半分以上ある。
これを全部口移し…?無理だ……恥ずかしくて死ぬ…。
「先輩やっぱり酔ってないんでしょ?」
「んー…?」
「……酔ってる…」
一向に離してはくれなさそうな力強い腕に私の弱い意志は簡単に砕けてしまった。
そうだ、これを全部飲んでもらえば終わる…だろう。
そう思って、コップを持っている右手に力を込めた。
「先輩…口、開けてください…」
「…はぁい」
嬉しそうに少しだけ口を開く。
ちょっとかわいい。
さっきと同じように、自分の口に水を含み彼の唇に合わせる。
唇が離れる度にニコニコ度が上がっていく彼。
確かに、私から彼にキスをすること自体かなり珍しい。
しかもこんなに連続で。
お酒に酔っているときが、意外とその人の本心かもしれない。
先輩は、私からしてほしいって思ってたのかな…。
最後の一口を口に含み、唇を合わせる。
ごくっと喉が鳴る音がして、体を離そうとすると、さっきまで腰にあった手が私の頭の後ろを抑えていることがわかった。
「ん!?」
