「えー何で。」
「何でって…」
「ベッド行く?」
「い、行きませんて」
やっぱり、この匂い。安心する。
彼の腕の中でひとしきり匂いを堪能していると不思議そうに顔を覗き込んでくる。
「何やってんの」
「…独り占めしてました。」
「…何を?」
「先輩を、です。」
私の返事に、少し考えこむような顔をする彼。
確かに変なことを言ってしまった。後悔。
「やっぱベッド行く?」
「何でそうなるんですか。」
「独り占めできるじゃん?」
「何をですか?」
「俺が、楓ちゃんを。」
「………。」
凄まじい破壊力だった。
独り占め……されてしまいたい……
「ま、まだお昼すぎたばかりですし…」
「じゃあ、夜までいっぱい出来るね」
「そうじゃなくて…っ」
「シャワー浴びてくる。」
「せせ、先輩!」
すたすたと浴室に消えていく彼。
午後1時を過ぎたあたり。夜まで…とは一体何時までなのだろうか…
明日の仕事の体力が心配だ。
―――――。
「はぁ……。」
少しぬるめのシャワーを浴びながら、ため息をひとつ。
あんなに好きだと言われて、何もしないなんて無理だ。
耐えられるやつがいたら教えてほしいくらい。
「……だめだ。」
完全に顔の筋肉が緩みまくっている。
彼女に見られる前に戻さなければ。
そんなことを思いながら浴室から静かに出るのであった。
Fin.
