「せ、先輩も可愛かったですよっ」
「え?」
何の事だか分かってないらしい。
こんな返しをしたことがないため、視線は依然として目の前の野菜に向けている。
「あの…キスマーク、あれもヤキモチですよね?藤崎と、私が何日も一緒にいるから。」
てっきりいつもの余裕たっぷりの声で反論してくるのかと思っていた。
なかなか言葉が帰って来なくて、ゆっくりと横にいる先輩を見た。
「……。」
「……先輩。」
柄にもなく頬が少し赤い横顔。
先輩が、照れてる?
「照れてるんですか…?」
「…違う。」
「嘘。絶対照れてる。」
ここぞとばかりに攻める。
今日の私は少し違うのだ。
「そんなに藤崎と私が一緒にいるの、嫌でしたか?キスマークつけちゃうほど??」
持っていた包丁をまな板に置いて、依然顔をそむけたままの先輩の顔を覗き込みに行く。
「ねぇ…先輩!答えてくださいっ…わっ!?」
私があまりにしつこく聞いていたせいか、少々……いや、かなり不機嫌の先輩。
そんな先輩に近くの壁に追い詰められてしまった。
あ…やばい…
やり過ぎちゃった…
「…ぁ…先輩、怒ってますか…?」
「そう見える?」
細めた目をこちらに向ける彼に、ヒューっと背中を冷気が通った気がした。
壁に手をついて、舐めるように私の顔を見る。
当然緊張と動悸と恐怖で目も合わせられない。
「違うんです、私ばっかいつもこうだし…!だって、先輩も私のこと……ひっ!!」
