「先輩。」
「ん?」
「あの…私の、どこが好きですか?」
「…え?」
日曜日。
ソファの上で最近買った本を読んでいた彼に一言。
雑誌でよく見るやつ。男の人にとっては、めんどくさい質問。
私があまりにも目を逸らさなかったせいか、先輩は読みかけの本を閉じた。
「どうしたの?」
「…なんとなく、です。」
実はつい先日、私の友達がその質問のせいで軽く喧嘩になった。
何でそんなことになったのに彼に聞いてしまったのか。興味ってすごい。
「例えば?」
「た、例えば?」
「楓ちゃんは、なんて言ってほしいの?」
「えーっと……か、可愛いとか?料理が上手とか?」
自分のことなのに自信がない。
私の答えを聞いて、少し考えこむ先輩。
「……いい匂いがするとこ。」
「匂い…?」
「あとは、酔うと抱き付いてくるところ。」
「え…っ」
「あと、料理するとき髪を結ぶところでしょ。…あとはー…」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
思わず口をはさんだ。
「な、なんか…マイナー過ぎません?」
「だめ?」
「え、い…いやぁ…うーん……」
褒められているのだから、文句は言えない。