「楓ちゃん、浮気はだめだよ」
「えっ!?」
「絶対ダメ。」
「何言ってるんですか…」
隣の彼は何かを察したように私に話しかけてくる。
浮気なんてするつもりも、する予定もない。
「さて…全員見送れたかな…」
「そうですね…」
あれほど賑やかだった会場はいつしかスタッフさんしかいなくなっていた。
彼のリードで控室に戻る。
普段着とは違い、長いドレスに気も張っていたせいかどっと疲れが出てしまった。
「ふぅ…」
「疲れた?」
「ちょっとだけ…」
「ドレス重いもんね、緊張する席だし…」
「亮くんの方が疲れてるんじゃないですか?すごいなぁ…挨拶、いつ考えたんですか?」
うーん、と少し考えるようにして「あの時に」と答えた。
そうだ、彼は仕事が出来る人だった。
さすがとしか言えない。
「あのっ…二人で写真撮りませんか?」
「前撮りしたよ?」
「あ、それもなんですけど…携帯でも撮りたいなぁなんて。」
「俺撮ろうか?」
「…撮れるんですか?」
「写真くらい撮れるよ…」
自撮りとかするんだろうか…メンズ達で?
ちょっとその光景見てみたい…
「あっ、亮くんしか入ってないじゃないですか。」
「ん…そっか…かがむね。」
「姿勢辛くないですか?」
「一瞬なら大丈…夫…?」
「私半分目が開いてないです…」
「これは保存しなきゃ…」
「ちょっとー…」
やだやだ、こんな綺麗な服着てるのに…
楽しそうにしている彼を見ると私もつい嬉しくなってしまう。
「ねぇ楓ちゃん、口紅はもう付けない?」
「あ、そうか…飲み物飲んだら落ちちゃいましたね…つけ直します!」
「あー…その前に」
「ん?」
