「さっきの連絡先…会社専用の携帯…ね。」
そう言って意地悪そうな笑顔をこちらに向ける。
何それ…
だからあんな簡単に教えたってこと…?
っていうか…その連絡先に執着してた私って…
玄関でポカンとしている。
何だろうこの脱力感は。
「楓ちゃん、お腹すいた。」
「へ…あぁ、作ります。作りますとも。」
長時間履いていたパンプスを脱いで、シャツの袖をまくる。
買ってきた材料を袋から出し、切り始める。
「楓ちゃん。」
「何ですかー?まだ何も出来てないですよー。」
「ヤキモチ、可愛かったよ。」
「…………!?」
「可愛かった可愛かった…」
しみじみと頷く先輩を後ろから見開いた眼で見ることしか出来なかった。
「私……ヤキモチ妬いてたの…。」
手元に視線を戻して、玄関にいたときのようにポカンとする。
く…悔しい…。
先輩にばっかり有利な状況な気がしてならない。
なんだかんだいつもそう。
「楓ちゃん手動いてないよ。大丈夫?」
いつの間にか傍に来ていた先輩が手元をのぞき込む。
いや?
今日は私にだって反論出来るんじゃないか??
あのキスマークのこと。
