――――………。
ついにこの日が来てしまった。
楽しみにしてたのに、何かやり残した感じがするのは私だけだろうか…
もうちょっと早くからエステに行くんだった…
オフショルにしたためデコルテラインが気になってしまう。
「新郎様お呼びしますか?」
「え!?…あ、どうしよう…私、変じゃないですか?大丈夫ですか?」
スタッフさんがくすくすと笑う。
「とっても綺麗ですよ。ドレスもよくお似合いです。」
「本当ですか…?」
「えぇ。じゃあ、お呼びしてきますね。」
「あ…はい。お願いします。」
スタッフさんが部屋を出てから間もなくして彼がドアをノックした。
「楓ちゃん、入るよ?」
「は、はい…」
毎日一緒にいる彼がタキシードマジックでさらに素敵に見える。
本当に鼻血が出てしまうレベル。
緩奈に言ったら「のろけ」と言われるであろう。
「わぁ…亮くん、すごく似合ってます…」
「……。」
「あ…私変ですか?似合ってないですか…?もうちょっとダイエットすれば良かった…」
「…姉さんの趣味に感謝しなきゃ…」
「変ですか!?」
「違うよ…」
うっすらと笑顔を見せながら近づいてくる。
本物の王子様みたい…
「綺麗だよ」
「……嬉しい、です。」
ニヤニヤしてしまう。
彼がストレートに言葉を言ってくれることが増えた気がする。
なかなか素直に言ってくれない彼も好きだけど、今の彼も好き。
いかん、またのろけが…
「楓ちゃーん、どう?ドレス着れてる?」
「あ、百合さん!」
「何だ、あんたいたの?…楓ちゃん綺麗…!!亮にあげちゃうのが本当にもったいない…」
「何それ」
「あんたねー、楓ちゃん幸せにしなかったらまじ殺すから。」
「絶対ないから安心してください。」
「ふふっ」
姉弟喧嘩が見られてうれしい。
こんな亮くんも可愛いと思えてしまう。
