百合さんから連絡があった後、すぐにラインで予定表が送られてきた。
私の予定といえば絶対安静の他はない。
具合が悪くなければいつでもいいのだ。
少しだけ散らかっている部屋の中を見渡して「やるか…」と一息。
久しぶりに掃除機に触る気がする。
私が具合が悪いとなんだかんだ彼がよく動いてくれている。
十分に愛妻家だと思う。
午前中は掃除をして。
百合さんとのやりとりにくすりと笑ったり、何度か心配のメッセージを送ってくる彼に返事をしたり。
あっという間に夕方になって、夕飯づくりを開始した。
「何があるかな……」
充実してはいない冷蔵庫の中身をくまなく探す。
今夜はなんとかなりそうだ。
「長ネギは…と、あった。」
一番下の野菜室にあったネギを取り出して立ち上がろうとしたとき…
「…ッ!」
ぐらぐらっと視界が揺れる。貧血の時のような。
ガクンと膝から床に落ちる。
頭が少し痛いような、まだ目の前がぐるぐるしている。
壁に寄りかかるように体重をのせた。
遠くからドアが開く音がした。
彼が帰って来たのだ。
「立たなきゃ……」
足に力を入れてみたが、上手に立ち上がれなかった。
「ただいま……楓ちゃ…!!」
「亮くんお帰りなさい…すいません、お迎えできなくて…」
「いいから。ベッドいくよ。」
軽く私を持ち上げすぐに寝室に向かった。
心配そうに毛布をかけてくれる。
「ちょっとだけ、めまいがしただけですから、ね。そんな顔しないで…」
「するよ。心配する…ちょっと具合わるだけでもいいから言って。…お願い。」
「…亮くん。」
「俺にできることなら全部する。」
