優しく肩をおして、私が仰向けになる。
「まだしていいなんて言ってないですよ?」
「…意地悪。」
「……してください。」
「……ん。」
温かい手が頬に触れ、唇が触れる。
目を合わせてもう一度。何度も繰り返して。
少し話して、またキス。
今まで調子の悪かった期間を埋めるように何度も。
耳に届くリップ音も唇が離れるたびに合う優しい目も全部好きだ。
彼のことが本当に好き。大好き。
翌日、いつ眠りについたか本当に分からなかった。
昨日のことも、夜のことも、しっかりと覚えているのに夢のようで。
隣にいる彼の存在が私をほっとさせる。
さてと、体調が良い日は彼のために尽くそう。
せめて子供が生まれるまでは私も1人の女性として見てもらえるように。自慢の奥さんになれるように。
釣り合わないと思っていたいつかの私にみせつけてやりたいほどだ。
「亮くんのお母さんのご飯美味しかったなぁ…」
とてもじゃないが自分の作る料理で亮くんが満足しているのが不思議だった。
毎日あのクオリティなのだろうか。
買い物もしていなくて冷蔵庫の中はあまり潤ってはいなかったがそれとなく朝食をつくる。
ひとしきり作り終わって寝室の部屋をのぞくと、まだ深い眠りの中にいる彼がいた。
慣れない挨拶周りで疲れただろう。
このまま寝かせてあげたいところだけど…
「亮くん。」
「………。」
「亮くーん。」
「………。」
「課長。」
「………ん」
仕事となると真面目だもんなぁ…
微かに反応がある彼を見て笑ってしまった。
