「父さん、開けるよ。」
「おお、入りなさい。」
襖を開けると、読んでいる本を静かに閉じて笑顔をこちらに向けたお父さんがいた。
「楓さんこちらに。暖かくしなさい。」
「あ、すいません。ありがとうございます。」
毛布を受け取った。
赤ちゃんのことも知っているようだ。
お父さんと向き合うように座り、話を始める。
「長い間顔を見せないで…すいませんでした。」
「ははは。そうだなぁ…少し寂しかったぞ。」
「これからは…時々帰ってくるようにします。」
「あぁ。そうしてくれ。…楓さん、亮と暮らしているのかな?」
「はい…。私がお世話になっている形ですが…」
「そうか…。それで、亮はこれからどうして行きたいんだ?結婚のこと、赤ん坊のことは母さんから聞いてはいるが…そう簡単なことではないのは分かっているな?」
やんわりとした雰囲気の中に少しだけピリッとした空気が出る。
子育ての苦労はきっと私の親と同じくらい分かっているのだろう。
「はい。…父さんや、母さん…姉さんにも協力してもらうかも知れません…。楓と一緒に乗り越えていきたいと思ってます…。」
「…楓さん、体を大切にね。」
「はい…っ」
私の中の不安が解消されたような…
ぷっつりと緊張の糸が切れて涙が出てきてしまった。
「楓…??」
横にいた亮くんが少し焦ったように背中をさすった。
「ごめ…ごめんなさい、私…」
「楓さん、君を否定するような人はここには居ないから。…いつでも帰って来なさい。」
「はい…ありがとうございます…っ」
「…ありがとうございます。」
二人そろって頭を下げた。
本当にほっとした。
