プレゼンの支度もすっかり落ち着いて、今日は久しぶりに残業のない日。
当日を迎えるだけになっている。
今日はいつも待ってくれている先輩を真似して、反対に私が待ち伏せをしている。
「先輩、珍しく仕事終わってないのかな…」
仕事ができる先輩がそんなことは絶対ない。
会社の入口の方へ歩いてみる。
「成瀬さんって……」
女の人の声が聞こえた。
声が聞こえた方を見ると、社内の中でも美人で有名な長坂さんが先輩と話をしている風だった。
いや…話っていうか……
告白…してるみたい…。
「成瀬さんって、彼女いないんですよね?」
「…まぁ、一応。」
先輩が言葉を濁したのは、会社では私とのことは内緒でと口うるさく言っているからだと思う。
「それって、私でも彼女になる希望はあるってことですよね。」
「……。」
「すぐにとは言わないです…連絡先だけでも、教えてくれませんか?」
普通の男の人だったらイチコロだろう。
鬱陶しくもなく、サバサバし過ぎでもない、こんな可愛らしい告白の仕方なのだから。
「…あぁ、連絡先ね……」
え……。
動揺して近くにあった植木の葉に手があたってしまった。
小さな物音だったので二人には気づかれていない…はず。
「え、いいんですか??じゃ…じゃあ、番号をここに…」
「…はい。」
「ありがとうございました!メールします!」
長坂さんは嬉しそうに軽やかな足取りでその場を去って行った。
