課長と私


私の言葉にハッとしたような表情をする。


「当たり前でしょう。あなたはもううちの家族だし…由紀のようにはならないようにしたいのよ。」

「由紀さん、ですか?」


あんなに明るい由紀さんに何かあったのだろうか…


「あの子も子供が出来たことがあってね。…仕事が好きでね。ギリギリまで働いてて、そのストレスで結局流産してしまったけど。」

「……っ」

「神経質にしないようにしてたのに、気づいたら私があなたと由紀を重ねてたのね…」


頬杖をついて小さくため息をついた。


「由紀は、今はあんなだけど…直後はやつれてご飯も食べられなかった。…私も、そんな思いはもう…」

「あの…私、自分の事……大切にしますから…」

「え?」

「体……自分の体、私だけじゃなくて…亮くんにも、お母さんのためにも。由紀さんのためにも、大切にします。」

「……。」


いきなりこんなこと言うのもおかしいよね…
初めてあった人に何を言ってるんだろう私…


そんなことを思っていると、お香の香りがふわっと私を包んだ。
どことなく彼に似ていて、優しくて、暖かい。
初めてなのに、初めてあった人とは思えない安心感。

これも遺伝なのかな。
私もお母さんの背中に手をのばす。

自分の子供でもない私に、こんなに良くしてくれる人が悪い人の訳がない。


「ありがとう。」


そういって私から離れていった。


「ご飯食べて、元気をつけなさい。もし…亮が頼りにならなかったら、いつでもここに帰って来なさい。」

「ふふ…そうします。」


微笑みあったこの瞬間を絶対忘れない。


「お母さん支度終わったけど……何かあった?」


戻って来た由紀さんがきょとんとしている。