課長と私


「あ、あの…」

「んー??こりゃまた可愛い子連れて来たね亮は。」

「えっ」


見た目と話し方のギャップについて行けない。
さっきのしっかりした感じは一体どこへやら。


「楓ちゃん?だっけ。…ここ、私の部屋だから使って。温かいもの持ってくるから座ってて。」

「あ…はい。お邪魔します…」


和風の家にこんなスタイリッシュな部屋があるのか。
というか、バリバリのキャリアウーマンみたいなお部屋…

間もなくして紅茶を持って由紀さんが帰って来た。


「ありがとうございます…。あ、あの…やっぱり私戻ります。」

「いいのいいの。今行ったら私が今度は怒られちゃう。」

「え!?亮くん今怒られてるんですか!?」

「そりゃね~、戻って来たと思ったら結婚って。しかも子供も出来てて…」


やれやれと言ったような表情だ。


「ど…どうしよう……。」


こんなことになったのは私のせいだ…
私のせいで亮くんが怒られちゃう…


「あー、結婚とか子供とかのせいじゃないよ?楓ちゃんは全然関係なし。お母さんが1番怒ってるのは、ここ数年音沙汰なかったこと。」

「そ…そうなんですか?」

「あいつ、大学進学で出てったきりよ。全く…正月くらい帰ってこいっつーの。」


それは初耳。
それで彼女が出来ても連絡してなかったと…

そんなことを聞いている内に、彼を残したままの部屋からドンっと大きい音がした。
何の音なのか全くわからない。


「あの…今の音……」

「あらら。お母さんめっちゃ怒ってるね。」


ケラケラと笑って見せる由紀さん。


「亮くん…大丈夫なんでしょうか…」

「大丈夫でしょ。こんなことで挫けてんじゃぁ楓ちゃんも、子供も守れないよ。」

「あっ…そういえば結婚の承諾をまだ聞いてない…」


何やってんだろう私。
1番大事なところなのに。