廊下を少し歩いて畳の部屋に通された。
旅館と聞いて賑やかな感じがしていたが、思ったよりも静かだ。
「すいません、あちらの家を出るのが少し遅くなってしまって。」
「そう。…お許しはもらえたの?」
「…はい。」
二人の間にピリッとした空気が流れている気がするのは私だけだろうか。
「どうぞ座って。…自己紹介がまだだったわね、私は亮の母の柳瀬小百合です。よろしく。」
やっぱりお母さん…本当に綺麗。
先輩の顔は遺伝だったな…
「初めまして、私は須藤楓といいます…亮さんとお付き合いさせていただいています。」
「楓さんね。…どうぞ、くずして座って頂戴。」
お茶を一口飲んで眼差しがこちらへ向けられる。
今まで静かだった亮くんが口を開いた。
「母さん、今日は…報告があってここに来ました。」
「……。」
「今お付き合いさせてもらってる楓さんと…結婚したいと思っています。それと…」
「それと…?」
「………楓さんは妊娠3か月目です。」
亮くんのお母さんの表情があまり変わらないけど…
これはどっちなんだろう…
そう思っていた矢先。
「由紀。楓さんを暖かいところに連れてってあげて。絶対冷やしてはダメよ。」
「はい、お母さん。」
後ろの襖から美人な女性が出てきた。
びっくりした…
この人も綺麗な人…
「立てる?こっち来て。」
「え…あの…」
戸惑いながら受け答えしていると「二人で話があるんだって。」とこっそり教えてくれた。
促されるままその場を後にした。
亮くんの表情は硬いままだった。
