課長と私


「ふぅ……」

「どうしたの、楓ちゃん」

「いや、何か安心してしまって…。」

「俺は今からが心配。」


眉間にしわが寄る。
そうだ。今から亮くんの実家へ行くんだ。

ハンドルを握る彼の隣でまた心臓が早く動き出す。

内容の濃い一日だ…


「楓ちゃん、具合どう?…どこかで休憩取る?」


私の家から彼の家までの距離が長く、道が混んでいなければ1時間半の道のり。


「いえ、今日は本当に体調が良くて…亮くんこそ、疲れてないですか?運転変わります?」

「妊婦さんに運転任せるほうがドキドキして疲れちゃうよ。ペーパードライバーさん。」

「大丈夫ですよ!バック駐車は出来ないですけど、まっすぐな道くらいなら!」


ガッツポーズを見せてみる。


「まっすぐな道だけじゃないんだな、俺んち…」


そう言いながら近くのコンビニの駐車場に車を止める。


「ごめん、ちょっと飲み物買ってくる。」

「はい、待ってますね。」

「うん。すぐ戻ってくる。」


数分後、彼がレジ袋を下げて戻って来た。


「はい。楓ちゃん紅茶ね。」

「えっ…ありがとうございます。」

「あと、飴買ってきた。スーってするやつ。」

「ふふふ。ありがとうございます…さすが、お父さんは優しいね~…」


お腹に触れて照れ隠しをした。


「お母さんは頑張り過ぎだからねー……ほら、出発するよ」