課長と私


「あの、何でお姉ちゃんなんですか?至って普通のOLですよ?美女ってわけでもないし、頭もそんなに良くないですよ?」

「雫、一発殴るよ?」

「や、ごめん!ごめんって…」


両手でバリアを作る雫に向かって睨みをきかす


「俺も普通のサラリーマンだよ?」

「柳瀬さんは違うんです、イケメンだから。世界が違うんですイケメンは。」

「そう?…あんまり関係ないと思うけど」


彼の隣で雫が質問し続けている。

聞いているこっちが恥ずかしいわ…


「ねぇ、あなた達のんびりしてていいの?夕飯はあちらでいただくんでしょ?」


亮くんの服をたたみながらお母さんが聞いてきた。
時計を見ると午後5時になっている。外もまだ明るいが、少しだけ暗くなり始めている。


「え?あ、もうこんな時間なんだ…亮くん、行きましょうか。」

「そうだね…すいません、ご馳走様でした。」

「えー!?もう行くの、お姉ちゃん達…。今度いつ帰ってくるの?また帰ってくる?」


なんだかんだで雫とは久しぶりに会ったから私も寂しい。

お化粧上手になったな…
就活のせいか、ちょっと疲れてる感じ。


「また帰ってくるよ。雫も無理しないでね。就活、焦らないでじっくり考えるんだよ。」

「うん。…柳瀬さんも、一緒に来てくださいね。」


こら、お姉ちゃんがこんなにも想っているのにやっぱりイケメンか…
つくづく好みが似ている。


「では、お邪魔しました…。」

「またね、お母さん、お父さん、雫。」


玄関まで見送りに来てくれたみんなに手を振る。
最初はハラハラしたけど、良い雰囲気で終わって本当に良かった。

胸のつっかえが半分とれた気がした。