私は静かに先輩の腕から離れて、バスルームに行く。
昨日、部屋の中をほとんど見ることが出来なかったので新鮮な気持ち。
「すごい綺麗…」
バスルームに来る途中で、下着と着て来た服を持ってきた。
「わ……こんなとこに…」
洗面台の鏡に映し出されたのは昨日の熱い夜についた赤い痕。
いつつけたのか、分からないくらい激しかった気がする。
胸元から始まり、鎖骨、首。
これじゃあ髪の毛でも隠せないな…
軽くシャワーを浴びて汗を流した。
よれてしまったお化粧も綺麗に落とす。
キスマークについては後で考えることにしよう。
ドライヤーで髪を乾かし、薄くメイクを施した。
「さてと……」
メイクは部屋を出る前にもうちょっと直そう。
あとはこれをどうするか…
首元の赤い痕を触る。
「…俺もシャワー浴びてくるね。」
バスルームを出ると、いつの間にか起きている彼が髪をぐしゃぐしゃ掻きながら歩いてくる。
彼は昨日ベッドに入ったままの姿だ。
上半身裸で目線に困ってしまう。
「りょ、亮くん…こんなとこにつけなくても…」
「ん?」
「首元は…隠せないじゃないですかぁ…」
髪を避けて見せてみる。
「なんか…興奮して」
「え!?な、なに言って」
真顔でそういうこと言うよねこの人…
「楓ちゃんもつけたでしょ?」
形勢逆転だ。
自分の鎖骨あたりを指さしてうっすら笑う。
確かに昨晩、慣れないながらも何個かつけた記憶がある。
なんか…興奮して……
「おあいこ。」
「数が違うでしょ…あと位置!」
「おあいこです。」
「も~…」
私の頭にポンポンと大きな手を優しくおいてバスルームに消えていく。
