課長と私


「あ……」

「病室のじゃ、格好つかないと思ったんだけど…どう?」

「……っ」


どうしよう、涙止まらないし手がふるえて…
バカだな私、別れの言葉かと思うなんて…


「楓。」


先輩が席を立って私の後ろから手をとる。

左手の薬指。


「…ごめん、待てなかった。」

「すいま…せ……っ」

「泣かないで。」

「だって…!こんなのっ…も……」

「ん?」


うまく喋れない。
せっかく先輩がかっこいいプロポーズをしてくれたのに。

私は相変わらず涙まみれだ。

優しく涙をふき取り、席に座りなおした彼。
私もようやく落ち着いて、左手の薬指を確認した。

本当にキラキラと輝いていて、夢かと思うくらい。


「返事は?」

「分かってるくせに…」

「聞かせて。」

「……こちらこそ、よろしくお願いします。」


涙交じりの私の答えを聞くと満足したようで優しく微笑む。


「ここの上の階に部屋取ってあるんだけど、いい?」

「最初からそのつもりでしたね…?」

「うん。」


心から嬉しそうだ。

お酒を頼んでる時点で気づけばよかった…


「じゃあ…行こうか。」

「はい。」