課長と私



それから何週間か経ち…

中間発表をしたとき、藤崎と私の班のどちらの案を押していくかで迷っていた課長達は
悩んだ末、私と藤崎の班の良いところを合わせて押していくことに決めた。

…ということで、柄にもなく犬猿の仲の私たちが1つの案を一緒に考えている。

コイツ(藤崎)と。

私達は入社当初から頻繁に衝突をしていた。
男と女で考え方も違う。

今までライバル意識をしてきた2人だったため、色んな事がうまくいかない。

その度に緩奈や藤崎のことが大好きな杏奈ちゃんが止めに入ってくれた。


「だーかーらー!!!お前もうちょっと経費のこと考えろよな!!このプランで使えるのはここまでだ!!」

「はあ!?あんたね、ここを削ったら女性からの指示全くなくなるからね?亭主関白か、時代遅れすぎ!」

「無駄が多すぎるんだよ、削るならそこだろ!」


この日も会議室で口論になっていた。
ヒートアップしてきたため自然と頭も体もほてってくる。

肩より少し下まで伸びた髪の毛をため息をつきながらザックリとまとめて1つに結ぶ。


「いい?全部を削るなって言ってる訳じゃないの!ここだけじゃなくて、他のサービスからも少しずつ削っていけばいいじゃないって話!!」

「それにしてもなぁっ…………!」


さっきまで威勢の良かった藤崎が急に黙った。
こっちを見て微動だにしない。


「な…何??」


藤崎が黙るなんて……逆に怖い。


「べ…別に………お前にも、そういう奴がいるんだなって…思っただけだよ…。」

「そういう奴って、何の話…?……あっ!」


思い当たる節が一点。


昨日も先輩の家に泊まった私は、いつものようにご飯を作り、そのまま眠りにつこうと思って……

思っていたのに……


寝かせてもらえない一夜を過ごして出勤してきた。