しっとりとして落ち着いた目が私をとらえる。
「お前は本当に…鈍感だな。男はそういう生き物だ。」
「……よく言われます。」
「…さっき、本当に期待したし、今も…。」
「まっ……まって。」
カウンター席でただでさえ距離が近いのに、さらに距離を縮めてくる。
ダメだ。
聞いてて恥ずかしい
何でこんなに正直に伝えられるんだろう。
本当…ストレートな言葉に免疫が無い。先輩のせいで。
「やめて…今は……」
か細い声しか出ない。
緊張で声が震えて、上ずってしまいそう。
心がぐらぐらと動いているのが分かる。
「何で赤くなってんの。」
「え…?」
「何で泣きそうなの。」
「……っ」
少しだけ暗いそのお店の照明が隠してくれていると思っていたのに。
顔を隠したはずの右手が簡単に取られる。
私の顔が赤いのは、涙が出そうなのは
藤崎の言葉が素直に嬉しくて、その言葉に心が突き動かされているから。
今は遠くになってしまった先輩と、今こうやって近くで私の支えになってくれている藤崎。
何で私は、二人を天秤にかけているんだろう。
「外出るぞ。」
「へ……」
声をかけられた時には既に私の分までお会計をだしてくれていた。
掴まれた右手はそのまま大きい左手に握られている。
