しばらくたったある日、稲葉正
成はとある町人の屋敷を訪ねた。
そこには秀詮がかくまわれてい
た。
「殿、手はずは全て整いました。
殿の子らは木下家に身を寄せてお
ります。家臣らも殿が狂い死にし
たことで同情が集まり、それぞれ
の居場所を見つけるめどがつきま
した」
「それは良かった。ところで杉原
親子はどうした」
「二人とも私のところにおりま
す。ご安心ください」
 秀詮と正成はやっと笑みを浮か
べた。
 それから間もなく小早川秀詮な
どこの世に存在しなかったかのよ
うに世間から忘れ去られた。
 再び復活するその時まで……。

            終わり

 この続きの【長編】戦(イク
サ)林羅山篇を公開しています。
小早川秀秋のその後はどうなった
か?
 ご覧ください。