「か・な・り。
おいしくできちゃったから……。
汐見くんに、おすそわけっ♪」



あごに両手をあてて、モジモジと小首をかしげる。



「ほら~。
部活の後とかっ。
お腹すくでしょ?」



「…………」



「よかったら……。
た・べ・て・っ♪」



声が裏返りそうになるのを必死でこらえ、満面の笑みをプラスする。



「…………」



こんなにレベルの高い指令を、あたしががんばっちゃってるっていうのに。



汐見廉は、無言のまま、銀ホイルを目の高さでぷらぷら揺らした。