「だって、考えてもみてよ。
〝可愛い”なんて、あたしの中にはないワードだし。
一体なにから始めればいいのか、皆目見当もつかないよ」



「………まずは、『皆目見当もつかない』とか、やめてみれば?」



「え?」



「そこは、普通に。
“わかんな~い”で、いいんじゃない?
ほら、練習っ!」



「わ、わ……。
わかんな~……い」



「うん。
まぁ、いっか」



厳しい先生の顔をして、繭はあたしの制服のそでを引っ張った。



「んじゃ、さ。
まずは……。
こんな“作戦”なんてどう?」」