【短編】好き、です。


…とは思うが、この人達には何を言っても無駄だろう。



とりあえず、



「あー、分かった分かった。近づかないようにするから」




棒読みだが、こいつらが欲しいであろう回答をあげた。



しかし私の言い方がしゃくに触ったのか、明らかに稲沢の顔が醜く歪んだ。



「馬鹿にしてんの?あんたが、私を?んなわけねーよな」



え、してますけど。




なんて、心の声は漏らさず口を閉ざす。



「ふふっ、そーよねぇ?あー、でもぉ、今の態度はいけないと思うなぁー?」


私が黙ったことで気分をよくしていることがだだ漏れだ。



そして、稲沢は尚も言葉を続ける。



「そーゆう悪い態度をとる人にはぁ…」







「お仕置きをしないとねっ?」



しまった、



そう思い顔を上げるも、既に遅かった。