【短編】好き、です。


これには笑うしかない。



「とぼけないでくれる?廊下で一緒に歩いてたでしょ⁉︎見てたんだからっ!」



「川崎…あぁ、葵先輩のことか」



少し考えて、葵先輩の事だと理解した。



ほれ見ろ、面倒なことになってんじゃねーか。



心の中で葵先輩に悪態をつくも、過ぎてしまったことはしょうがない。



ってゆーか、だから何だって話なのだが…



「っ…⁉︎何であんたが先輩のことを名前で呼んでるのよ‼︎」



「川崎先輩はあんたなんかとつり合う相手じゃないから。テストは毎回学年1位で、運動も出来て、時期生徒会長になる方なのよ?」



「そう。だから川崎先輩に近づかないでくれる?」



吐き捨てるようにそう言い、稲沢が鋭い目つきで私を睨んだ。


あー、そーゆーこと。



つまり、みんなのアイドルに近づくなってことね。


でもさ、私から近づいた覚えはないんだけど?



むしろ私は嫌がってますけど?



来るなって行っても毎日来るのはあっちだから。



そもそも生徒会メンバーだってことすら知らなかったし。



文句なら私じゃなくて葵先輩に言って欲しい。