【短編】好き、です。


嘘だよ…



「そんな訳…」



「最初にここで会ったのは、偶然じゃないんだよ」




「…え?」



「俺、一回見たんだ。雫ちゃんがゴミ箱投げつけられてるとこ」



そんなこともあったかもしれない。




けどそんな事は日常的。



覚えていない。



「でも全然平気そうにしてて、そのまま音楽室に向かった雫ちゃんについて行ったんだ。その時に知った。ああ、この悲しい音は雫ちゃんが奏でてたんだって」



そう言って、葵先輩は私の目を見つめる。



私の音が、悲しい?





ただ無意識で弾いていただけなのだけど



「だから、俺は雫ちゃんの事を助けたかった。でも…結局、なにも出来なかった。ごめんね…」