え?長谷川君?



なんで私が長谷川君のことで悩まなきゃいけないの?



長谷川君はもう私の中に入れない。



頑丈な扉でふさいでるから。



私の中にいない人のことで悩むはずがない。



「梨々香、どうしたの?私、長谷川君のことなんかなんとも思ってないよ?」



普通に答える。普通に。



少しの沈黙の後、梨々香の大きなため息。



「あのさー、ほんとにいつまで逃げるつもりなの?」