「前半と後半を交代するので10分間で移動してください。」
放送が流れてあたしは綾瀬を探した。
「…え。」
どんなに探してもいなかった。
一緒にまわるんじゃないの?
『今どこにいる?』
あたしはメールを送った。
『羽鳥は?』
『裏庭』
『誰と?』
あきらかに、綾瀬は一緒にいくことを忘れてる感じだった。
『ひとりだよ。』
『ふーん。誰目当てでそこにいるの?』
『誰目当てでもないよ』
綾瀬は…あたしのこと好きなのかな?
『羽鳥さ好きなやついんの?』
…え。知ってるんじゃないの?
どうして聞いてくるの?
『前と変わらず綾瀬だよ』
『それガチ?冗談だろ』
『冗談なはずないよ』
嫌な予感がした。
付き合ってないからあたしへの気持ちはとっくに薄れてて、
いずれ付き合うっていうのも忘れてるんだ。
『本当に?』
『うん。』
『ごめん。他に俺好きな人いるから。』
…やっぱり。
気づいてたはずなのに、いざ現実で受け止めてみると辛い。