“かわいい…”




陽介は急がなくてはいけないことをすっかり忘れていた





「いいよ。赤外線ついてる?」




「あ…、はい!」




しおりは慌ててケータイを取り出す





「あっ同じ機種じゃん!」




「本当ですね」





ちょっと親近感がわいた。






「ありがとうございます!」





「いえいえ。」






「あ゛っ…!」





「…?」





「ヤベ!マジで遅刻する。ほんじゃ、また連絡するよ。」





「はぁ…。」





「じゃあね!」





しおりに手を降ると





陽介は駆け出した。





これから二人の間に起きる悲劇など知りもせずに…






まさに幸せの始まりのようで






二人の恋は





確実に






不幸へと近付いていたのだ…