結局新しく着物を用意するだけの余裕が無い十兵衛は奉公人から着物を分けてもらい狭霧と朧に渡した。

「明日からその格好するように!」

十兵衛の強い口調に渋々の2人は

「あたしのイメージってこんなの?」

狭霧は桜色のおとなし目の着物を手に取り呟くと

「丈が長くなっただけやん」

朧は紺色の着物を手に取り姿見で自らの姿を見つめる。

「ま、それならどこからどう見ても年相応の生意気な町娘だな…明日は早いから議論は、ここまで」

十兵衛のヤツ…勝手に仕切って勝手に終わらせやがったよ。